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先日我が家のピアノを三年ぶりで調律しました。 三年も調律をしないなんて初めて。子供の頃からお世話になっていた調律師のMさんが病で臥せってしまい回復されるのを待つうちに気が付いたら三年も経っていたのです。 私の所有しているピアノは注文を受けてから製造するオーダーシステムを取っていた富士楽器製造株式会社のベルトーン(BELTON)。 グランドピアノは一般的に隣同士の2本の駒ピンに一本の弦を掛けて往復させています。しかしベルトーンは一本掛け(一本の弦を一つの駒ピンに掛ける)を採用する少数派です。 そのためにどんな調律師でも扱えるというものではなく、Mさんが倒れられて途方に暮れていました。 ようやく他の調律師を紹介して頂く決心がつき、新しい調律師のTさんがやって来た訳です。 Tさんはとても話し好きの方で、日本のピアノメーカの事情なども話してくださり、それには考えさせられる事が多々有りました。 昭和37~40年代にかけて、日本では沢山のピアノメーカーが出現しています。あるサイトによると日本のピアノブランドは270(一社でいくつかのブランドを出している所もあるからメーカーはそれより少ないが)もあるとのこと。 その中で今でも生き続けているメーカーは僅かしか無いのです。私の持つベルトーンの製造会社も採算が合わず残念ながら倒産。 今は二大メーカーのヤマハとカワイが殆どのシェアを占めています。 この大メーカーで量産されるピアノは機械生産が主流。 量産とは、「ある程度の年月使用したら買い替え」の思想で造られているということです。消耗品の扱いですね。 それ故かなりひどいピアノもあると聞き、寒々しい気持ちに襲われました。 そしてこのピアノ業界の在り方が調律師の世界にも多大な影響を及ぼしているとのお話。 MさんやTさんの時代には、調律師になるために楽器メーカーでの修行時代があり、楽器を造る工程を一から順に経験し最後に調律の勉強をしたそうです。 工場では同じ工程を二度と繰り返さないため、製造過程を一日も休まずに付いて行かなくてはならないとの事。休むことが多かったりすると落伍してしまう。 今はその修行をさせてくれる中小のメーカーも少なく、若い調律師の多くは調律の学校で速成されていると言うことでした。 職人的な修行をした調律師が少なくなってしまった今、大メーカーのピアノ以外を所有している者にとっては危機感があります。 調律という仕事について一般的には音の狂いを直すものと理解されている場合が多いと思います。 ピアノのように自分で調律できない楽器にとってそれも大切な仕事ですが、それが全てではありません。 Mさんにお願いしていた時も、数時間の仕事のうち調律そのものはそんなに長い持間をかけてはいませんでした。 Tさんも久しぶりという事もあって4時間ほどの時間をかけて見て下さっています。 その殆どが鍵盤、ハンマーなどをケースから取り出して削ったり、鍵盤とそれに続く棒の幅の調節だったりと様々な作業をし整調、整音と呼ばれる仕事をしているのです。 Mさん、Tさんの持って来られる鞄の中には様々な形をした道具がたくさん。 ピアノのドクターみたいだなと思ったことがありました。 職人技のメンテナンスには繊細な神経、集中力、体力等が不可欠のようです。 速成の若い調律師はピアノの構造をよく理解していない人が多く、また道具の使い方も知らないとTさんは嘆いておられます。 4年前に厚木にある中古ピアノを扱っている修理工場を兼ねた販売店を訪ねた時のことが思い出されました。 このことについては別に書こうと思います。
by akoy28
| 2010-11-12 16:50
| 音楽
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