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超絶技巧と優れた音楽性で悪魔的とも言える魅力を持った
ホロヴィッツの演奏は例えて言えば遠近感のある奥行きを感じさせるリズム、重さのある音、画期的な表現などセンセーショナルなものだった。 人々は指を伸ばしたままの手の形にも驚かされた。多くの人は「指は卵を持つように軽く曲げて」と教わってきたからだ。 ホロヴィッツの求める表現が産み出したテクニックだった。 ロシアの巨人、エミール・ギレリスの最初の映像はラフマニノフの前奏曲を軍隊を前にして鼓舞するように弾いていた場面。 スターリンが君臨したこの時代はこの国の芸術家にとって冬の時代だった。 音楽も音楽家も軍隊との強い結びつきを強要されていた。 そしてもう一人の巨人スビャトスラフ・リヒテル コメンテーターの一人、指揮者のロジェストヴェンスキーは彼との共演を「凄まじいエネルギーに圧倒され、彼の言いなりになってしまう」と。 ロジェストヴェンスキーは恐らく欲求不満に陥ったのではないだろうか。 このDVDでギレリスもリヒテルも其々チャイコフスキーの協奏曲を弾いている。 その姿は集中力の塊のようだった。 一見、叩くような弾き方に見えるのだが、手首の柔軟さによって音に硬さがない。 伝説的ピアニストグレン・グールドとアルトゥーロ・ベネデッテ・ミケランジェリ グールドは公開演奏から離れレコードのみで演奏を続けたことで有名だが、知的なアプローチ、いきいきした表現に彼の考えが現れ大変個性的な世界を創り上げている。澄んだ美しい音も魅力だ。 グールドの弾いている姿勢が、一般に良しとされているものとはかけ離れているのも興味深い。 ミケランジェリはキャンセルで有名だが、これも妥協のない己に厳しいが故の結果だったとも。 日本公演は何回かあったが、大抵予定した半分も行われていない。 幸運にも一度だけNHKホールでの演奏を聴いた時のこと。 スカルラッティやガルッピ等のイタリアの古典で精緻なペダリング、繊細で弦を思わせる音に度肝を抜かれたのを憶えている。 完璧でありながらそれが目的ではないと感じさせる即興性のあるリズムにただただ心を奪われてしまった。 女流ピアニストはマイラ・ヘスのみが取り上げられていたが、クララ・ハスキル、アニー・フィッシャー(最後のタイトルで弾いてはいるが)などが居なかったのは寂しい。 ヘスの「熱情ソナタ」は男性顔負けのベートーヴェンだった。 最後に1991年に亡くなる直前まで演奏活動をしていたクラウディオ・アラウ 南米チリ生まれの彼はドイツ音楽に憧れ真摯に追求していった。ベートーヴェンのソナタを解釈編集した楽譜は多くのピアニストが参考にしている。 正統派のピアニストと言われており、亡くなるまで作品の解釈に謙虚さを失わなかった。 ロマン派まで作曲家=ピアニストというケースが殆どだったが、リストが大ホールでの公開演奏のきっかけを作り、だんだん分業が通常のスタイルになった。 それでも19世紀後半から20世紀半ば過ぎ頃まではこのDVDに収録された巨匠たちの活躍で、作曲家の生きていた時代の様式が継承されていた。 このDVDでグールドは「ピアニストが作曲をしなくなった現代は演奏が衰退してきている」と。 ここに取り上げられなかった素晴らしいピアニストはまだまだ沢山いる。 しかし演奏もさる事ながら、映像とコメントで輝かしい歴史を目の当たりにしてくれたこのDVDには感動と感謝あるのみだ。 この貴重なDVDを観る幸せに浸っていたところ、ここに収録されているピアニストたちの3枚組のCDがあるというのを知った。 早速Amazonで検索してみたが入荷の予定がない。売り切れとのこと。 DVDでは演奏の一部分のみなので、完全な演奏をいつか聴いてみたいと熱望している。
by akoy28
| 2011-05-23 21:26
| 音楽
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