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6月10日 大成邸で開催されたバッハ無伴奏チェロ組曲のコンサートを聴きました。
フランス人のムニエ氏は1942年の生まれ。少年のころから天才ぶりを発揮していたとのこと。 しかし、18歳になって突如演奏活動を中止し、音楽美学や音楽学を学ばれたそうです。 22歳になって再びチェロを、そして室内楽を学び、ソリストとして又「キジアーナ六重奏団」のメンバーとして世界各地で演奏されていると、プログラムのプロフィールにありました。 この日のバッハは 無伴奏チェロ組曲の第5番ハ短調、第3番ハ長調、第1番ト長調の順序で演奏されました。 どの曲も前奏曲と五つの性格の違う舞曲からなり、その表情の面白さが書き分けられ、一連の流れの中で統一された音楽となっています。 バッハの無伴奏チェロ組曲はチェロの聖書とも言われているそうです。 最近読んだ藤谷治著「船に乗れ」の中でチェロを学ぶ主人公が、この曲を先生から練習するように言われた場面で、この曲について語られたことを思い出さずにはいられませんでした。 この組曲は20世紀になってスペインの巨匠、パブロ・カザルスがコンサートで取り上げるまで、長い間学習者の為の練習曲として扱われていたとか。 カザルスによって再評価されて以来、バッハの最高傑作と言われるようになったこの曲はチェリストの出発点でもあり、到達点でもあるとされているそうです。 チェロの技術的難易度については分かりませんが、1番から6番まで順次難しくなっていくと「船に乗れ」には書かれていました。 確かに最初に弾かれた第5番は少々難解に聴こえましたが、楽器を鳴らす初めの瞬間はその空間やそこからくる響きを確かめながらの作業も大きく影響します。 コンサートホールの様な響きのある大きな空間と、こじんまりした空間との違いは楽器が大きくなるに比例して苦労も大きくなるものでしょう。 5月に開催されたコンサートでのヴァイオリンの音色が自然だったのに対して、チェロは空間に慣れるまでこちらの耳もついていくのが大変なんだと感じます。 円熟した奏者の表現の豊かさは2曲目の第3番になって聴こえてきたように思いました。 間近で聴くチェロは右手のボウイング(弓使い)の巧みさ、左手の音程の動きなどを直接的に見聴きして成程なぁと感心しきりでした。 腕や手首の力を抜いて、自在に動くボウイングを見ていると音楽の細やかな動きや、大きな流れを感じ取ることが出来るのだと実感することが出来ます。 この聴き方は多分に小説「船に乗れ」の影響もあったかとは思いますが・・・ 最後に弾かれた第1番はよく演奏される親しみやすい曲です。 美しい前奏曲が流れ出したときには輝かしい歓びが空間を満たし、バッハの音楽の真髄を聴くことが出来ました。 幸せに満ち満ちたこの曲は単独でも演奏されることが多く、この日のアンコールの一曲にも選ばれています。 ムニエ氏はこの曲を弾く前に「ビュ-ティフル」と仰っていましたが、まさにその一言に尽きるでしょう。 バッハの作品は楽器や演奏スタイルの如何に関わらず、演奏技術をマスターした先に問われるものが必ず存在し、それを聴き手に感動として伝えることが至難の業です。 ましてや無伴奏の独奏曲ほど演奏者にとって怖いものはないのではないかと思います。 ムニエ氏は休憩なしで三曲を続けて演奏されることを希望されていましたが、聴き手の側からの要望で第3番と第1番との間に短い休憩が取られました。 第1番が演奏されて直ぐにムニエ氏の意図が正しかったのだと感じられました。 其々独立して演奏されることは多いと思いますが、連続して聴くことによって、そこに奏者が意図した世界を感じ取ることが出来るのではないでしょうか。 コンサートの後は豪華なおもてなしのパーティー。 ご一緒したOさんとお寿司や手作りのお料理、美味しいデザートが沢山用意されたテーブルを囲んで、しばし歓談のひと時を愉しむ幸せな時間でした。
by akoy28
| 2012-06-13 16:14
| 音楽
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